2011年07月21日
リーダーの心得
皆さんこんにちは、株式会社シンプルウェイのウェブコンサルタント川久保です。
最近読んだ本(※)に、面白いことが書いてありました。
まずは、以下の2つの実験例を読んでみて下さい。
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~実験1~
数十匹のラット(ラットA)をガラス瓶に一匹ずつ入れ、そのビンを水で満たした。
その結果、すぐに溺れ死ぬラットもいれば、60時間程泳いでから溺れ死ぬラットもいた。
そこで次に、別の数十匹のラット(ラットB)を用意し、それらを何度も捕まえ、数分間水噴射を浴びせてから逃がすことを繰り返した後で、上記と同様の実験をした。
すると今度は、すぐに溺れ死ぬラットは一匹もおらず、全部のラットが平均して60時間以上泳いだ。
~実験2~
まず、箱を二つ用意する。
・箱A:箱Bと連動して、自動的に電気ショックが止まる。
・箱B:側面のパネルを押すことによって電気ショックが止まる。
二匹の犬をそれぞれの箱に入れ、電気ショックを与える。
その結果、箱Bに入れた犬(犬B)は、自分でパネルを押して電気ショックを止めることを覚えたのに対し、箱Aに入れた犬(犬A)は、電気ショックが止まるまでひたすらじっと耐えるだけだった。
そこで次に、簡単に飛び越えられる低い壁で二つに仕切られた部屋を用意し、一方の部屋には電気ショックを流し、もう一方の部屋には流さないという仕組みにした。
犬Aと犬Bを電気ショックの流れる方の部屋に置いたところ、犬Bはすぐに壁を飛び越えて電気ショックを回避したのに対し、犬Aは電気ショックの流れる部屋でじっと我慢し続けた。
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この2つの実験結果には、共通点があります。
ラットAおよび犬A(A群)と、ラットBおよび犬B(B群)とでは、実験の結果に大きな差がありました。
この差を生じさせた要因、それは、「自分自身の置かれている環境を、自分の力で変えることができる」と認識しているかどうかである、と著者は述べています。
ラットBは、何度も逃げることができたという経験から、犬Bは、自分で電気ショックを止めることが出来たという経験から、「自分の力で多少なりとも結果を変えられる」ことを学び、A群よりも優れたパフォーマンスを発揮したのです。
人間についても、同じことが言えるのではないでしょうか。
何かしら与えられた役割があるとして、それを言われた通りにこなさなければならない場合と、自分なりにやり方を工夫する余地が与えられている場合とでは、その役割に対するやる気も、結果として発揮できるパフォーマンスも、全く違ってくるように思います。(違わないというのであれば、悲しきかな、人間はラットや犬以下であることを認めざるを得ないでしょう。)
人を動かす立場にあるリーダーは、ともすれば自分の思うように物事を進めるため、完全にマニュアルでメンバーを縛ってしまいがちです。
しかし、それによって生まれるのは型通りの結果にすぎず、本当の意味で良い結果を生むことはできません。
少し遠回りに思えるかもしれませんが、それぞれのメンバーに対し、可能な範囲で、本人の裁量の余地すなわち「自分の力で変えることができる」余地を与えることにより、メンバー一人ひとりのやる気とパフォーマンスを最大限に引き出すことができるのだということを、リーダーの立場にいる方々には忘れないでいて欲しいと思います。
※参考文献:シーナ・アイエンガー著『選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義』(文藝春秋、2010年)
本日の担当:川久保
Posted by つくばちゃんねる事務局 at 09:43│Comments(0)│よもやま話
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