2011年07月26日
「おとな」になることを注意深く拒む

皆さんこんにちは、株式会社シンプルウェイの川久保です。
子供の頃、「大人はどうして分かってくれないんだろう…」と、もどかしい思いをしたことはありませんか?
「私は、大人になっても絶対に子供の気持ちを忘れない。」
幼心にそう誓った私が、20代のはじめ頃から、ある意味教科書代わりに読んでいるのが、サン=テグジュペリ作『星の王子さま』です。
その中に、こんな一節があります。
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小惑星B612について、こんなにくわしく話したり、番号まで明かしたりするのは、おとなたちのためだ。おとなは数字が好きだから。
新しい友だちのことを話しても、おとなは、いちばんたいせつなことはなにも聞かない。
「どんな声をしてる?」とか「どんな遊びが好き?」「蝶のコレクションをしてる?」といったことはけっして聞かず、「何歳?」「何人きょうだい?」「体重は何キロ?」「おとうさんの収入は?」などと聞くのだ。
そうしてようやく、その子のことがわかった気になる。
もしおとなに「バラ色のレンガでできたすごくきれいな家を見たよ。窓辺にはゼラニウムがいっぱい咲いていて、屋根にはハトが何羽もいるんだ……」と話しても、おとなはうまく想像することができない。
それにはこう言わなくてはならないのだ。「十万フランの家を見たよ!」するとおとなたちは歓声をあげる。「それはすてきだろうね!」
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この文章を読むと、なんだかハッとさせられませんか?
物事の価値を表現するとき、たしかに数字は大切な役割を果たします。
ですが、数字はあくまで表現する手段にすぎず、物事の価値そのものではありません。
上の文章を見ると、数字という概念をまだ良く知らない子供の方が、より物事の価値そのものに近い言葉で世界を捉えているのが分かります。
ビジネスにおいても、日常生活においても、数字だけに踊らされるのではなく、純粋に物事を見つめる子供たちのような目で、「本当にその数字で表現されるだけの価値があるのか」をしっかりと見極められる大人になりたいものですね。
※参考文献:サン=テグジュペリ作『星の王子さま』
担当:川久保