2011年05月09日
「八風吹けども動ぜず」

皆さんこんにちは、シンプルウェイの川久保です。
日本人の多くの方がそうであるように、特定の宗教を深く信仰してはいない私ですが、
古くからある宗教が、どのような思想に基づいているのかには興味があるので、
留学生の友人に、その国で広く信仰されている宗教についての話を聞いたり、
仏教やキリスト教などに関連する書物を軽く読んだりはしています。
何世紀にもわたって、多くの人に支持されてきただけあって、
それぞれの宗教の教えの中には、考え方として私達の日常生活に役立つものも多々あります。
今日は、禅宗の「寒山詩」の中から、
一つ、私が個人的に気に入っている言葉をご紹介しようと思います。
「八風吹不動 (八風吹けども動ぜず)」
「八風」とは、人の心を乱す八つの逆風(利・衰・毀・誉・称・譏・苦・楽)を指します。
●利は、自分の意にかなうこと。
●衰は、自分の意にかなわないこと。
●毀は、影で悪口を言われること。
●誉は、影で褒められること。
●称は、目の前で称賛されること。
●譏は、目の前で誹られること。
●苦は、心身を悩ますこと。
●楽は、心身を喜ばすこと。
この言葉で最も興味深いのが、
「衰・毀・譏・苦」というネガティブな要素のみならず、
「利・誉・称・楽」というポジティブな要素も
人の心を乱す逆風の中に含まれているという点です。
ビジネスで成功した、試験に合格した、子宝を授かった・・・
仕事でもプライベートでも、ポジティブな出来事が起きること
それ自体はとても素晴らしいことです。
しかし、
そんな時、つい有頂天になり、
周りのこと・今後のことを考えずに、軽はずみな言動をとってしまいがちであることも、
また事実だと思います。
「利・誉・称・楽」も、「八風」に含まれているということをしっかりと肝に銘じて、
「衰・毀・譏・苦」な状態の場合はもちろん、
「利・誉・称・楽」な状態の自分も、
きちんとコントロール出来るようになりたいものです。